春とおっぱい
田代深子


鳥のため
おおきなおっぱいが
ほしいとおもう
春さかり
右のほうが
小さいと気づいてから

左おっぱいの下に
空袋があって
そこに鳥が棲む
とっととっとなくつがい
一羽とびたちもどっては
一羽でかけてまたもどる

左おっぱいの春は
いそがしい
雛が飛び立つまで
とっととっとさかんに
話しているのらしい

とっととっとの
左おっぱいを
右掌で包み少し小さい
右おっぱいも左掌で包む
もう少しおおきければ
右おっぱいの下にも
空袋があったら

春は静かだろうか




自由詩 春とおっぱい Copyright 田代深子 2007-06-09 21:23:30
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