SU・RU・RI
虹村 凌

毎日誰かの命日で
毎日誰かの誕生日
毎日誰かが人を殺し
毎日誰かが射精(受精)する
誰かが誰かの処女幕を破り
誰かが誰かの童貞を奪う

繰り返し繰り返し

男は目の合った女を瞬時に脳内で脱がす
微笑みを投げかけるのは、脱がした後だから
女が安っぽく笑わないのは、既に脱がされているから
視姦の先の強姦、繁殖の為じゃない性交
無責任に繰り返される妊娠と堕胎
流産は悪夢
悪夢を悪夢とも思わない無味乾燥な出産

俺がラバーソールを履くのは
高みから見下して笑いたいからじゃない

繰り返す繰り返す独り言

大好きだ と言う為だけに電話をしていいかい?
あんたの声なんて聞きたくない、と言う為だけに電話に出てくれよ
そしたら君
ちょっとだけ咳をしてくれないか
病気になってくれないか
そしたら伝染されに飛んで行くよ
このどうでもいい世界で生き延びよう
何処にも逃げられないし逃げたって意味なんか無い

俺がラバーソールを履くのは
少しでも君の身長に近づきたいからじゃない
誰かより高い目線を手に入れたいからじゃない
何かに届かないからじゃない

五臓六腑と五線六空譜
旋毛とト音記号
ただの煙草の煙に
するりと指から離れる感覚が繰り返す

笑え


自由詩 SU・RU・RI Copyright 虹村 凌 2007-06-06 21:59:42
notebook Home 戻る  過去 未来