ドナドナ。
もののあはれ

久しぶりに口笛を吹いてみたら口が笛になっていた
何度言葉を発してもフィーフィーとしか音が出なかった
周りの皆は大層大袈裟に哀しんでくれていたが
涙が出ている者は一人も居ないようだった
哀しんでも仕方ないのでドナドナの練習を毎日した
たどたどしいながらも自分なりに心を込めて吹いた
すると周りの皆の瞳からホロホロと涙が零れていた
言葉など無くとも伝えたい気持ちは伝わるようだった
言葉で何とかしようとしていた自分の限界を知った
でも言葉で何とかしようとする自分が嫌いではなかった


自由詩 ドナドナ。 Copyright もののあはれ 2007-05-25 23:59:27縦
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