*詠えるロッカー*
かおる


この頃先生は子供の全てを把握したいのか
不審人物を排除するだけじゃ足らずに
学校内にテレビカメラを設置
見える物だけが全てではない事実を
大人は忘れてしまったのか
自分の目に映るものだけを信じていたいらしい

鍵のかかる日記帳に嘘を並べているあたし

おうちには存在しないけど、学校には必ずあるロッカー
鍵なんかあるんだかないんだか、ロッカー
いつだって急いでいる時に限って、言う事を聴かないロッカー
設定したしたはずの番号で開かないロッカー
ガンガン叩いてぶっ壊していたロッカー
いらない荷物だって無言で引き取ってくれたロッカー

ナイショの秘密も引き受けてくれるロッカーに
王様の耳はロバの耳だなんて詠ってほしくはない

人の口に戸は建てられないけど
最後の砦のロッカーに
大きな声で詠われちゃった日には
あたしはいったいどうしたら良いんだか

赤ちゃんポストがコインロッカーベビーを救えるなら
ティーンの悩める気持ちはロッカーに仕舞いたい
絶対煌めく詩の宝庫だからって
黙っていてね、ロッカー


自由詩 *詠えるロッカー* Copyright かおる 2007-05-24 22:17:26
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