露草色の空を ー海へー
未有花

露草色の空を
のどかな雲が流れて行く
いつか見た雲が白い蝶をかたどって
私の頭の上を
風に吹かれて飛んで行く

どこへ行くのと手を振ると
今度は白い子馬となって
東の空へ駆けて行った

新緑の頃の風はいじわるで
ひららら 歌いながら通り過ぎていく
ひららら ひららら
翠色の声が響く
ひららら ひららら
海へ行こうと私を誘う

いつしかそれは
郭公の歌声に変わって
森の奥へと静かに消えて行く

かすかに光る宝石は蒼いビードロ
近づくごとに透き通る波の音がする
あれは秘め事を隠すために
海が歌うひそやかなファンタジー
誰も知らない国へ行こうと歌っている

私も心を海鳥の翼にのせて
海が歌う誰も知らない国へ行ってみる


自由詩 露草色の空を ー海へー Copyright 未有花 2007-05-23 09:18:33
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