求愛や越権
クマクマ

まるくあった裂け目だ。そのように生じる他にないのは、密室の丸ごとの気狂いや身悶えに含まれる等しさやおかしさ。
              ついに殴るあなたを見つけ出せないあなたの猫背を撫でさすってやれないのは、生きているものと生きられた筈のものをそこに並べ置いたなら、わたしを光と影の帯流に爪先すらもかすめさせずにはじき出していたかも知れないから。
    どうぞ、見つめないでくれ。射ぬかないでくれ。

ささげた果実の皮の発色一つひとつの構成を、誰も把握に努めない。
つぶてを放る。ヤブレル。このすべからくは、望んだものや望めたものであって、敵ですらなく。痩せた白紙であったり、太った白紙であったり。
糸を切った凧のような構図がゆすぶって ゆらめいて、話の話は肢を小さく短くして。走らない、走れない。その刻みのところどころが、こなごなにぼけて安定を保つ。
もろびとの乳や蜜のおびただしい送り迎え はばたき。

ただの一人も否定しないからこその、夢の孤独があった。
                          銹びているのは、ふさぎきれないおびただしい断面か、凝らされたしぶきか。

砂が吹き込むばかりのうろの底で、アリ続ケルコトノ正誤ヲカタロウ。求愛や越権。
わたしたちは一蹴を待った。昼夜を繰り返した百年の生地を練りあげる。折りたたむ。あなたたちは一撃を待つ。老いたケルビムのまどろみ 刃こぼれに。能うことに期待はできない。

止揚された日常と謝肉祭のあわいだ。折りにふれてしたり顔をうかがわせるものの怪たちは可燃性か、不燃性か。
           彼らからのべつに手渡される、受け取る書簡の続きを綴れ。


自由詩 求愛や越権 Copyright クマクマ 2007-05-19 22:44:54
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