心から祈る。
もののあはれ

手が届かないというから
かわりに蛍光灯を換えてあげた

堅くて開かないというから
かわりにフタを開けてあげた

重くて動かないというから
かわりにソファーを運んであげた

うまく出来ないというから
かわりに愛想笑いしてあげた

悲しいのに涙が出ないというから
かわりに大声で泣いてあげた

自分から振るなんて出来ないというから
かわりに『さよなら。』って振ってあげた

そんな二人に終わりが来るまで君は
いっぱいありがとうっていってくれたけれど


ほんとはね。


喜んでいる君の姿を僕がみていたかっただけなんだ

怒っている君の姿を僕がみたくなかっただけなんだ

哀しんでる君の姿を僕がみたくなかっただけなんだ

楽しそうな君の姿を僕がみていたかっただけなんだ


だからほんとはね。


君の為には何一つしてやれなかったんだよ

それなのにまだ君とのふしだらな記憶にばかり気を取られてる僕は

いつまでも大馬鹿野郎のままだけど

こうやってぼろぼろ零れ落ちるこの心だけは

手の届かなくなった君への正真正銘嘘の無い気持ちだから

そしてもう二度とこの想いが君へ届くことは無いということだけが

唯一君にしてあげられる償いになってくれたらと心から祈る


心から祈る。






自由詩 心から祈る。 Copyright もののあはれ 2007-05-16 21:48:29縦
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