*灰と雪*
かおる


瑠璃色や萌黄出す緑色と原色の花々が
ゆらゆら揺れている中
灰や雪を見いだすのは容易くはない
家中が電化されていくと
囲炉裏も暖炉も滅多に見つけられず
たまにあったと思って覗くと
金魚やメダカが泳いでいたりする
灰冠り姫はいないし、お茶殻で掃除もしない
遠く山の頂きにわたぼうしを見かけても
雪を踏みしめるサクサク感も
フワフワと漂う吹雪の冷たさも遥か彼方
雪色真っ白だった兎が灰色カメレオン化しても
樹の根っこに躓いたりもせず
つんつんみどりの中
かくれんぼをしているはずで
五月晴れのむこうがわに
降り忘れた灰色の雪雲が
ちゃっかり隠れていたりするのかな
燦々と降り注ぐ日の光と影に
ちらちらと蠢く灰色と雪色
緩んでゆく陽射しで色を紡いでみても
本物は凍りつく季節までしばしお預け
意気揚々と花咲か爺さん活動中


自由詩 *灰と雪* Copyright かおる 2007-05-16 07:59:19
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