ゆきちゃん
ひろっち

波打ち際にゆきちゃんがひっそりと立っています。
おまえ誰やねん。
ゆきちゃんです。

ゆきちゃんがそう、答えました。

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25世紀の春、消滅寸前の太陽のもと、
ゆきちゃんは草刈をしました。 酸素濃度が高すぎて結構みんなヤバイです。
温暖化防止のためのCO2対策で植樹しすぎて、森という森が酸素を吐き出しすぎたためです。

先週、かんたくんも息絶えました。
混沌の中、手を握ったゆきちゃんに言いました。
おまえ誰やねん。
ゆきちゃんです。

ゆきちゃんがそう、答えました。

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うららかな春です。
桜がしらじらしく咲いています。

カウパー腺液も垂れない老いぼれが、偉そうにふんぞり返っています。
桜の木の下で。

ゆきちゃんは近寄って言いました。「もっと酸素を吸って!!」
おまえ誰やねん。
ゆきちゃんです。

ゆきちゃんがそう、答えました。


自由詩 ゆきちゃん Copyright ひろっち 2007-05-16 01:03:22
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