雨の伝う肩が
銀猫

遠雷が止み
雨の最初の一滴が落ちるまでの
僅かな静寂に
こころ、ふと無になり
空の灰色を吸い込む

程なく落ち始めた雨粒に
再びこころには
水の班模様が出来て
潤う、のでなく
惑う、でなく
ただ音にかき乱される


雨脚が強くなった
屋根に守られていながら
髪は
肩は
びしょ濡れになる

儚く貼りついた薄い袖は
どこか水を求めたひれのようで
雨のさなかに
泳ぎ出したい
そんな気持ちを抑えている

さかなのように
するりと
暗い水から抜け出したいのかも知れない

水、水は冷たくても、
水ならば




自由詩 雨の伝う肩が Copyright 銀猫 2007-05-15 21:52:50縦
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