恋月 ぴの

重ねあう肌のあたたかさに
見いだそうとするもの

胸の奥に秘めるもの

真新しかったスーツに
シワもめだってきて
某寂無人のかかとに踏まれた
つま先が疼く

こんなはずじゃなかった

そんな。わたしの弱音に
励ますでもなく
あなたは

何をそんなに急いでいるのかな

手帳に記した時計の針に追われ
髪を振り乱す自らの姿に気付いた

なんだかね

失いかけていたのかな
大切なもの

そして。駆け足で通り過ぎようとした
小さな公園の片隅で
見つけたよ
昨夜の雨に濡れた紫陽花の
淡い色合いの
安らぎと
直向なだけでは生きてはいけない
そんなことの意味


自由詩Copyright 恋月 ぴの 2007-05-06 21:42:33縦
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