ぶらんこ
渦巻二三五

一回転してしまえない飛び出せないからぶらんこの鎖がたわむ

靴だけを先に逃がしてぶらんこに繋がれたまま残ったわたし

順番を待ってから乗るぶらんこはつまらないからぎりぎりねじる

ぶらんこに乗ればわたしに風が吹く愛してるならついておいでよ

母さんが悲鳴をあげるほど高くぶらんこ漕いで家出をしよう

ぶらんこに腹這いに乗るさみしさは空を飛べない両手両足

弧を描き地面かすめる思い切りぶらんこ漕げれば恋はいらない

あたたかい鎖だったねぶらんこに二人乗りしてちょっとこわくて

振り返るぶらんこはまだ揺れているわたくしはもうそこにはいない

ぶらんこに腰掛けているシンデレラ少女のころの靴跡を履く





          
一九九八年四月二九日 @nifty 文学フォーラム


短歌 ぶらんこ Copyright 渦巻二三五 2007-05-02 12:43:29縦
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