木の芽立つ
渦巻二三五

木々の芽のうをの頭のかたちして霞の谷に息ひそめゐる

この冬も人失はれ残雪の谷さやさやと木の芽張り初む

断崖に身をよぢりたる一樹あり芽のあをあをときのふを忘れず

約束てふ言葉はあらず芽吹くときいつせいに水のぼりはじめる

木の芽立つ枝をふるはせけものめく森に夜の雨ぬるく注げり

木の芽立つ枝交はりて天地あめつちをめぐる争ひまたはじまりぬ




          
一九九九年四月二六日 現代詩フォーラム@nifty



短歌 木の芽立つ Copyright 渦巻二三五 2007-04-27 10:52:16縦
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