へそ
虹村 凌

「タキシード仮面が来ないの」
と電話がかかってきた
うるせぇよ
とだけ言って電話を叩きつける

眠りかけた脳味噌を無理に起こされて
不機嫌な目の中に飛び込んでくる
いつかどこかで聞いた言葉

お前の匂いだけは他と違う
わかるんだぜ
と言って他の女と間違えて
出刃包丁で刺された脇腹が痛む

片腹痛い
と女は言ったのだった
しらねぇよ
俺は眠る

起きればどうせまた勃っている
ふざけんな
愛なんざ無くたってなぁ

何を信じてやがんだ

いい事ばかりじゃねぇけど
悪い事ばかりでもねぇな

大あくび
臍を焼いてしまった


自由詩 へそ Copyright 虹村 凌 2007-04-27 07:55:05
notebook Home 戻る  過去 未来