螺旋階段
田島オスカー


強い風のあと
無残な散り様
何にしても
まばらだということが僕の慈愛をかきたて
暗い中に泣いている葉桜の
そのいでたち

みかん色の朝日を二分する電柱をフィルムに焼いて
人間の身勝手さを嘆いた人の
指先の動きによく似た
花弁が

ひら、り


ごめんなさい、って
言っておくれね
僕は身勝手な人間でそのくせ
言葉の使い方を忘れてしまったから

ごめんなさい、って
言っておくれね

春だけがおまえの命ではないよ
葉が枯れたって雪をかぶったって

僕の代わりに
ごめんなさい、って

 


自由詩 螺旋階段 Copyright 田島オスカー 2007-04-02 07:10:57
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