駅前にて
黒田人柱

駅には
西口と東口があるけれど
どっちに行けばいいの
陽が昇るのは東だけれど
どっちに行けばいいの

僕たち迷子だ
生まれたときから

古い月を見ている
古い星を見ている
光の速さで
僕は生きられない

たとえばあの日の君の言葉が
頭の中を漂うのに
もう二度とあの瞬間には触れることができない
見ているだけ
漂っているのに

あの月のように
あの星のように


西口と東口があって
太陽は東から昇って
それなら僕は何処へ行けばいいのだ

見ているだけ
見ているだけ
光の速さで僕は生きられない



自由詩 駅前にて Copyright 黒田人柱 2007-03-31 01:25:31
notebook Home 戻る  過去 未来