朝が下ってゆく
はな 


古いじてんしゃのように
朝が下ってゆく


風邪声の
のどに ちいさなにがみと
這いつくばるようにおとずれ
さらさらと消えゆくよるを
くちびるに
にじませ

朝が下ってゆくときに
少し
あなたの匂いがする
風のおと
木の葉のこすれるおと
あの日も
わらうたびにくずれて
いまは少し ずれたおとで鳴ってる


下るごとに
増してゆく 水圧
おぼれるような手つきで
あなたは手を振る
わたしは
ぎゅっとにぎりしめて
はなびらが

ふる



少しずつうすまっている
そらのすそ
ちいさないたみを 声にしてゆく朝
何もわからないから と
あなたはそれだけ
わらって
小さな声で
じゅもんを

そんな
夢を見たよ


淡くふり注ぐ日々に
負けないのは
からすも
夕立も
いつか とおくできしんだせなかも
みかたにつけたいからだ

わたしも
ちいさなこえで
いまやっと じゅもんを呟く
うしなったぶんだけ 
また
朝が 下ってゆくので


自由詩 朝が下ってゆく Copyright はな  2007-03-31 00:34:14
notebook Home 戻る