キャラメルマン
マッドビースト


 夏の気配をちらつかせては
 まだ肌寒くなる朝には
 寒がりな君のことを想うよ
 
 咲いてしまった躑躅の並木や
 同じくらい鮮やかになってしまった街の色が
 こんな日は胸に痛くて
 
 だから
 さよならも言えない甘えた僕は
 部屋に隠れて季節が過ぎていくのを
 待っていたい

 季節の終わりには散っていく花とか
 動かなくなる虫だとか
 そういうものに出くわさないように
 じっとして
 
 さよならもいえない甘えた僕だから
 キャラメルの部屋に閉じこもって
 季節が過ぎていくのを待っていたい

 キャラメルになって
 もっと辛い君の口に入って
 この甘さで少し君の痛み和らげて
 そのまま君の胃で
 君にも知られずに
 溶けたい


自由詩 キャラメルマン Copyright マッドビースト 2004-04-26 00:05:57
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