池袋〜南千住
馬野ミキ

今日は朝時計を見て遅刻かと思ったら
一時間時計を早く見ていたらしく池袋駅で下りて煙草を吸って少し歩いて
うんこをしてから交番の横で煙草を吸ってから松屋に入った
交番の横の喫煙スポットで煙草を吸っていると俺は社会に守られている気がした
俺は早朝の池袋で二人連れのギャルと田舎から出てきたばかりの禿げ伸びの若者の間で
静かに豚を食べた
昨晩からいやな予感がしていたがあらゆる関係に対しての無気力な感じは続いていて
結局仕事に行ったが、
朝現場でうんこをして
昼まで、いつこの現場から逃げ出そうかと考えていた
逃げ出すことと妻とやがて生まれいずるわが子について同時に考えた
詰め所で加害妄想に襲われる。
だが張本人にとってそれは実質的な加害であり己を否定し続ける罪だ
風は冷たいが空は晴れていて
俺は歩道を歩く
南千住で安くてうまい定食屋をみつけて気に入っている
道路に花束が落ちていたから誰かがここで交通事故で死んだのか今日も俺の誕生日か
鬱というかこれは多分逆でアドレナリンみたいな何か知らないけどそんな物質が
分泌されすぎて自分でセーブというかブレーキをかけすぎている状態なのだと思う
街路樹の葉や工場の煙突や区画整理や空き地や子どもや痴漢に注意といった看板
そういったあらゆるものがいちいち美しい
そういう美しいものを見ている
なぜなら見たいからだ-
例えば太陽が太陽であり続ける為に必要な要因とは
燃え尽きてしまわないこと
太陽は太陽系をマジ照らすエネルギーかそれ以上のパワーで燃やすに値するもの自体を
己の内側で創造、展開させなければならない
それは涙を流しながら笑顔で一人フェラチオを延々と繰り返すようなものではあるまいか
とりとめがなく
当たり障りはあるけれど
俺の詩集やCDが評判以上にまったま売れないのは
読者以上に俺が俺の作品を欲しているのからかも知れん
わかんないけど、その原因を最近よく考えている
なぜステージにたっている俺が客より金を持っていないか
南千住の現場で本日の俺は
沢山の道具を持って仕事をしたから職人っぽくてかっこいいなと思った
そういうのを沢山の人に見られたい
そしてかっこいいと思って欲しい
何者かになっている自分がたまらなく嬉しいのだ。





未詩・独白 池袋〜南千住 Copyright 馬野ミキ 2007-03-21 18:56:12
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