「 ぬくりもこ。 」
PULL.







「もこもこと旅に出るんだ!。」

そんな寝言をきみが言うので、
ぼくはすこしだけ、
もこもこになってみる。
もこもこになったぼくは、
きみの夢に潜り込み、
きみと旅に出る。

もこもこはまるまると違うから、
丸まって転がって旅はできないけれど、
もこりもこりと歩いて、
きみと旅に出る。


おおきな風が吹いたら、
もこもこ膨らんで、
風に乗って、
ふんわり。

海を渡って、
知らない土地へ。


日差しの強い日には、
もこもこ大きくなって、
日影をつくって、
ひんやり。

雨の日には、
もこもこ伸びて、
もここっと広がって、
傘に。

寒い夜には、
ぼくはぬくりもこ。
きみはぼくを抱きしめ、
ぬくぬく眠る。


おやすみ。
ぼくはもこもこ。
いつかきみの夢から抜け出して、
きみと遠い旅に出る。












           了。



自由詩 「 ぬくりもこ。 」 Copyright PULL. 2007-03-19 17:13:18
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