ちいさなしあわせ
小原あき

さっきまで見えていた晴れが
今ではすっかりどんよりです
雲はお日さまをひとり占めして
わたしの気分は最低です

犬はいつだって健気にこちらを見て
わたしたちが振り向くのを
ドキドキわくわくさせた胸を持って
いつまでもしっぽを振って待っています

わたしはそんな風にはできません
どちらかと言えば
いじわるな雲です
お日さまをひとり占めして
いつもあったかくありたいのです

犬に聞いてみたのです
きみはどうしてそんなにも健気なのか、と
犬は答えたのです
うしろすがたは さみしいけれど
いつかは きっと
しんじていれば
あったかい えがおが まっているんだ

どんよりした雲は
またすこしだけお日さまを見せてくれました
そんなことが
幸せなのです



自由詩 ちいさなしあわせ Copyright 小原あき 2007-03-16 12:46:28
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