赤道カフェ
ふるる

彼女が好きなそのカフェにはいつも
雨が降っていた

店内はびしょびしょで
暑くて
植物が生い茂り
肉厚な緑の葉の上で
色とりどりのカエルが跳ねた

極彩色の鳥達が
テーブルの下で睦み合い
騒がしく鳴くので
おしゃれっぽいBGMはかき消された

カフェボウルはいつも雨水がたまり
そこに植物の種が泳ぎ着けば
するりと根が伸び
ぴちりと芽が出て
ミルクをかきまわすはずだったスプーンに絡みついた

なかなか繁盛している店なので
店員は忙しく店内を回り
時々赤道の赤いラインにつまづく
猿が木陰からそれを見てキャッキャ手を叩く

服もカバンもぐしょ濡れになるから
僕はここあまり好きじゃない
けれども彼女はここが大好き

降り続ける雨を
手や顔で受け止めて
嬉しそうに笑うんだ

そのへんの果物をとってあげると
すごく美味しそうに食べる

ワニがのっそり泳いで来たから
僕らは椅子に両足を縮こまらせる
ちょっとのスリルだ

女の子って
こういうのが好きなんだろうか



自由詩 赤道カフェ Copyright ふるる 2007-03-13 22:08:11
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。。。。。恋愛詩っぽい。。。。。。