天国のトイレ
吉岡ペペロ



アボジは一階に住んでいる

二階からうえには

あたしとお母さんと妹が住んでいる

あたしと妹の部屋は三階にある

結婚して東京にいる姉の部屋は

ときどきあたしの部屋になっている

一階と二階にトイレがある

お風呂は一階にある

あたしは一階のトイレを

地獄のトイレと呼んでいる

二階のを天国のトイレと呼んでいる

あたしはアボジが嫌いなわけではない

お母さんのほうが困った存在だからだ

一階のよりも二階のほうが

天国に近い、ただそれだけだ

天国のトイレには

学生のころ行った南の島の写真と

学生のころ付き合ったひとが

好きだったシャガールの絵の切り抜きを

小さな額のなかでコラージュしたのを飾っている

いま

天国のトイレであいつがうんこをしている

あたしが寿退社した会社の先輩だった

あいつ

あいつもいまは会社をやめている

あたしは事情があって実家に戻っている


携帯写真+詩 天国のトイレ Copyright 吉岡ペペロ 2007-03-07 23:03:01
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