しあわせ予報
マッドビースト


明日はしあわせですか

夜の地下鉄の中で本当に知りたい情報を拾った新聞に探す
ipodの中にも耳を澄ませる

誰も声を発さない
がたんがたん輸送されていく

言葉では問わない 否定されたくはないから

明日はしあわせですか

質問にもなりえないような漠然としていて一等合理的な問題が
無言のうちに提起される

7人がけの端の席で眠りこけながら
或いは携帯メールのついでに
車掌は停車駅の度に構内にこぼれていくそれを見ない振りで指差し確認を続けた

いくつか駅を過ぎ
地下鉄は時期に地上にでた
空はもう暗くて駅ビルのネオンを数えた

ほとんどみんなうな垂れていた
今日もなにも約束されることはなかったのだから
どうやって心と体を休めて自分とスーツに明日に備えることを最もらしく納得させるかをそれぞれが考えていた

明日はしあわせですか

そんな予報はできっこない
それが分かるときもない

その質問がきっと明日も僕に白シャツを着させ
ネクタイを結ばせる

溌剌とした顔でネオンを眺めている青年は酒臭かった
大抵は僕と同じく神妙な顔で輸送されていた

明日はしあわせですか

窓に映る自分へ向かった唇を動かした 音を立てず
答えはない

そんな予報は新聞のどこにも乗っていない
ipodにもない


未詩・独白 しあわせ予報 Copyright マッドビースト 2007-02-27 01:55:46
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