夕焼けのソケットさん
AB(なかほど)



赤とんぼ食堂の他人丼の味と
裸電球の熱は変わってなかった



そんなことで
たったそれだけのことで
さんざん無理して
気付かないふりしてきた僕が
すぐそこで笑っている
淋しい目をしてれば
まだ許せるものを
どこを見ていたのか
あの日の僕は
明日の僕を見ながら


裸電球のソケットに
コンセント口が付いていて
そこに繋がるラジオから
夢が見えていた頃
たまらなくなって
黒いスイッチをひねれば
背中の方から
抱きついてきた
吐息はそこから
喧騒の中 始まる
二人だけの静かな夜に溶け



赤とんぼ食堂の他人丼の味と
裸電球の熱は変わってなかった

そんなことで
たったそれだけのことで




自由詩 夕焼けのソケットさん Copyright AB(なかほど) 2004-04-17 22:24:16
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夕焼けが足りない