*シチューを煮込む鍋の隣で*
かおる


昨日までの鬱屈を
雨が洗い流したのか

カーテンを開けると
底抜けの空のあおさが
広がっていた

一週間の汚れを
一緒くたに
洗濯機にぶち込んで

ガラガラ回しながら

家中の窓を全開にして
鼻歌まじりで掃除機と格闘

休みなんだからもう少し寝かしてくれ。

と言う哀願は
何処吹く風と聞き流す

台所でトントントンと包丁を響かすと
忠犬ハチ公に変身するU*x*U/2匹

木っ端野菜をすこし分け与えながら
下準備した野菜や肉を鍋に入れていく

そして、ふたり

新聞を読むあなた

時々グツグツいうお鍋

灰汁を掬う以外は
ずっと寄りかかって本を読むあたし

膝に丸まる毛糸玉2匹

何もおしゃべりせず

秒針がチクタクと
時を刻む音に抱かれると

音も光も色もゆっくり、
ゆっくり流れてゆくような気がする

そう、
やさしい時間が過ぎてゆく


自由詩 *シチューを煮込む鍋の隣で* Copyright かおる 2007-02-22 21:13:13
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