*シチューを煮込む鍋の隣で*
かおる
昨日までの鬱屈を
雨が洗い流したのか
カーテンを開けると
底抜けの空のあおさが
広がっていた
一週間の汚れを
一緒くたに
洗濯機にぶち込んで
ガラガラ回しながら
家中の窓を全開にして
鼻歌まじりで掃除機と格闘
休みなんだからもう少し寝かしてくれ。
と言う哀願は
何処吹く風と聞き流す
台所でトントントンと包丁を響かすと
忠犬ハチ公に変身するU*x*U/2匹
木っ端野菜をすこし分け与えながら
下準備した野菜や肉を鍋に入れていく
そして、ふたり
新聞を読むあなた
時々グツグツいうお鍋
灰汁を掬う以外は
ずっと寄りかかって本を読むあたし
膝に丸まる毛糸玉2匹
何もおしゃべりせず
秒針がチクタクと
時を刻む音に抱かれると
音も光も色もゆっくり、
ゆっくり流れてゆくような気がする
そう、
やさしい時間が過ぎてゆく