かんきつのよる
はな 


おへそに つめをたてて
ぎゅっと押す
ざらざらとはみ出してゆくのは 宵の空
じいんとしていて
冷たい

暖色の
とうめいのふくろのなかに
とけては完結 してゆく
線路の上 やねのすきま あふれそうに


すっぱい水滴は
あなたのおもたさ
おもたさの揺れ
くらい線路のおくはまどろんで
しろいせかいがつづいていて
そのなかには 
ふたりのかさなって眠る姿がある
てのひらはちいさすぎて 
ほとぼりの冷めないあすふぁるとや
こぼすしかなかった泡の数々 
きえてゆくのを
待っている


あなたのおもたさ
お風呂場できりおとしていった
髪の黒



ざわざわする胸を
せっけんのぬるさにゆだねると
ゆきずりの
うららかな日のにおいがした



未詩・独白 かんきつのよる Copyright はな  2007-02-22 12:25:02
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