稲妻でみんな酔って終われるって言うから此処に来た
水在らあらあ



稲妻でみんな酔って終われるって言うから此処に来た
だから早くそれを出せばいい
そう言いながら手を傷つけて血を流しながら
貝殻を握りつぶしている友達を笑って見ている
俺たちはライトアップされた
サン・セバスチアン沖の島にいる
サンタ・クララという島
ライトアップされているのは島の周りだから
俺たちは暗闇の中にいられる
暗闇の中で 頭の上を飛び交う
カモメがすさまじい  下からライトアップされて 
カモメが 光 
一羽っていう単位にくぎられた光だ
びゅうびゅうびゅうびゅう光が
何でこんなに光が 生まれたての銀河のような光の赤ん坊が
飛び交ってるのに俺達は
どっかの誰かが持ってきたヒネブラを
まわし飲んでいる もう何回転んだか知らない
何これ ここに生えてたの
普通の750の瓶なのに
ちいさな取っ手がついている
それだって
おかしいや
そうやってなんだかいろいろおかしいけれど
生活は続くんだぜ 誰に会ったって 誰が去ったって
誰がおまえを思い出したって 誰が おまえを 呼んだって
明日だって ああ 晴れだ 分るよ 匂いで
おまえもう貝殻は
貝殻はもうほっとけばいいよ すごい血だよ 稲妻はさあ
どうせ
ないよ もう
だっておまえ
そういう昔の事言うんじゃないよ
それは本当に昔の話だぜ この国に
キリスト教が来てなかった頃
巨人のタルタロが
一つしかない目で やっと見つけた友達に裏切られて
泣きじゃくっていた頃
そんな頃の話さ
俺たちは その頃にあった 感傷を
海や 森や 女性に求めるところの深さが 同じだ
だからおまえは今 そんなにつらくて
おれだって つらいんだ 

そうしておまえはBRASSENの歌を歌い始める
俺はラピュタの君を乗せてを歌い始める
めちゃくちゃだ なあ
ちゃんとしようよ
アイルランド人の彫刻家が後ろから低い声で
SOUND OF SILENCEを歌い始める

HELLO DARKNESS MY OLD FRIEND

暗闇で俺達は
こんなに自由な世を吠えるしかない犬だ
静寂の音
静寂の音か
この心の鳴り止まない静寂を
いつか詩であらわせればいい
そして
いつか詩なんて書かなくてよくなればいい
その頃には世界が詩で満ち溢れていて
人々はもっと優しくて
いろいろあるんだぜ
ひとりひとり、いろいろあるんだってみんなわかって
みんな優しくて
みんな優しくて

稲妻でみんな酔って終われるって言うからここに来た
だから早くそれを出しなよ
光がびゅうびゅう舞うサンタ・クララで
闇の中で
手を傷つけて貝殻を握りつぶしている友達を
泣いて見ている








自由詩 稲妻でみんな酔って終われるって言うから此処に来た Copyright 水在らあらあ 2007-02-22 07:41:05
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