セピア
もも うさぎ

目覚めたら

 世界は セピア色だった





そこには セピア色のシーツと
セピア色の 僕のからだと

セピア色のテーブルと椅子
セピア色のコーヒー

セピア色の空には
夜の星屑がまだ 曖昧に瞬いて まだ少し残っていた


セピア色のカレンダーに
セピア色の書き込みが
月の途中まで書かれて止まっていた


セピア色のぬいぐるみは
少しうつむいてその背をまるめ 目を閉じていた





暗いのではなかった
時は眠るのでもなくて

ただすべてが古い
映画か写真の中に 息づいているようだった



セピア色の僕の髪は 僕を怖がらせた

きみの黒い髪を
もう二度と見られないと思うとつらかった


何かのフィルターを通したように
裏庭ではいつもみたく
鳩が羽を休めていた







悲しいの?


いや、そうじゃない


あなた、泣きそうな顔してる















きみも。








その雫だけが今も色を失っていなかった



僕のこころは揺さぶられ

届きもしない
濡れたまぶたに触れたくて

セピア色の両手をあらん限りの力で伸ばした



それは
静寂という名の 叫びに似ていた


僕は泣いた



それはどこまでも

この世界に 吸い込まれていった















〜セピア〜



自由詩 セピア Copyright もも うさぎ 2007-02-08 09:49:24縦
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