チャイナタウン
恋月 ぴの

寝苦しさに目を覚ますと
やはりホリデーインの一室に泊まっていた
わたしの隣では
脇臭く寝相の悪いやつが
馴れ馴れしくいびきをかいていた
エーチャンのニューグランドホテルは
わたしのこころの内だけにある
さして美味しくも無い中華饅に並ぶ人々を避け
朱雀門からさほど離れてはいない
路地裏の奥に息づいている
中華食材店の軒先で見つけたのは
豚足
豚の鼻
思い出したよ
豚の耳ってミミガーだったよね
でも
それっておきなんちゅう
いつか読んだ誰かの小説みたいに
生きて出られぬ重慶飯店
わたしの鎖骨で出汁を取れば
少しは美味しい中華粥になるのだろうか
そうそう子袋って手もあるよね
わたしの子袋
何だかきゅんきゅん鳴いてしまって
親鳥とはぐれたウミネコのように
横浜港を渡る寒風に乗り
チャイナタウンの街並みは緋色に渦巻く
テト
テト
テト
春節を祝う人々の流れに投げ込む爆竹
ぱんぱんぱぱあん
ぱん
ばっくちっくな思いの果てに
踊り狂った大捜査線
別れたおとこの影を追う


自由詩 チャイナタウン Copyright 恋月 ぴの 2007-01-31 23:02:23縦
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