断片集「リバーリバー」
簑田伶子

一.


番号をつけるかわりに
名前をつける
えんえん正しい
回路
いつか誰かにのぞまれる手
という呪文




二.


ステップが日の長さに合わない

れんげは嫌いだ といった 車 のなかで
海が蒸発する




三.


まるで斜めに裁った
求婚
と、いう日差し
安い本と
紅差し指




四.


こんなに白いのに
まったく雪がない

(折られるまで飛べたかも
しれない紙だからといっ
て潔白だとは限らない)




五.


蝶をつくる手がはぐれてしまう




六.


髪の毛のながれるほうへ
火を放った
手、綺麗なゆびと
ふるえていたのは
ふるえていたのは
いいにおいがするといった







自由詩 断片集「リバーリバー」 Copyright 簑田伶子 2007-01-29 00:38:12
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