言葉
ダーザイン

朝露に濡れた道を
金色に光る
なだらかな稜線へとたどる

うつむいた桜草が
風にふるえ
太古の海を弔ってきた
アンモナイトがひとつ
朝日を受けた岩の間に割れ落ちて
失われた鐘の音が鳴りとよめき
方解石の白が煌めく

丈低い千島笹を踏みしめて
幾つもの藁色の丘を越え
国境稜線へといたる途上
どの丘の上にも
ただ茫洋と
空だけがあった

風に吹かれて所在無く
透き通っていくこのからだ
このこころ

遥かな青みの向こうには
絶対零度の真空が
身投げする者の瞳のように
黒々と見開かれている

何もありはしないのだと
思い決めてなお
紡がずにはおれぬ言葉があった

あなたはと


自由詩 言葉 Copyright ダーザイン 2004-04-09 16:56:03
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