夜明け前に布団にもぐった
虹村 凌

夢を見るのって
いいじゃない

醒めれば喉はカラカラに乾いていて
煙草の煙も上手く通らない
むせ返って出てくる痰も飲み込めない
カルキ臭い水道水が染み渡る不思議さ

絵コンテみたいに毎日を切り取って
一等輝いてる瞬間だけ残しておくのは
ちょっと卑怯過ぎやしないかい?
と喉まででかかった言葉を仕舞う
挙句の果てに堂々と吐く

真夜中育ちの少年少女が
夜明け前に布団にもぐった
だって絵コンテみたいに綺麗にいかない
昼間の光は強すぎて
目が焼け爛れちゃうんだもの

その間だけでも
夢を見たっていいじゃない

手も食器も洋服も洗わないで
テレビもステレオも蛍光灯も消さないで
カウチにダイブしたまま眠る
誰からメールが来る訳でも電話がかかる訳でもないから
沈むように眠る

目薬が効きすぎて眠れない夜でも
夢が見たいと思うんさ


自由詩 夜明け前に布団にもぐった Copyright 虹村 凌 2007-01-19 13:32:42
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