つくしんぼう
恋月 ぴの

春めくのか夜になると
もぞもぞするもの
それは
あなたのつくしんぼう
今夜のわたしは疲れているのに
背中を向けた闇のなかで
何かを探し蠢いている
辛抱が足らないから
貧乏なのか
芯棒が入っていないから
頼りないのか
あなたのつくしんぼうは
一筆書きみたいな身体を震わせ
季節の在り方について考えてみる
雪景色の野山に
春の日差しが雪どけを誘い
フキノトウやら
雪割り草が顔を出す
待ち遠しかった春の訪れは
記憶の片隅に押しやられてしまったようで
それでも
季節は自分で印すもの
(もうすぐ春ですよ、だなんて
まあだだよ
摘んで食べると美味しいんだけど
こんなんじゃ満足できなくて
もっと立派になるのかな
何かを何処かに置いて来た
この町で
あなたのつくしんぼう
春めく夜に愛をささやく


自由詩 つくしんぼう Copyright 恋月 ぴの 2007-01-18 22:26:39縦
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