れいうとわたし
こしごえ

ある朝に、新宿駅東口で待っている

(白くうずくまっている 無音の質量を
回転している(絶叫をとおりこした)声が
雨 のおくへと響いていく

来るのかしら
(いつ?)
遠くはるか遠く
眠っていた素粒子が
無表情にささやくの
けれど
傘をもつ手は冷たくなってしまっている
帰ろうか
しかしどこへ
うちは空っぽ
傘から宙ぶらりんで
真夏に泳いでいた鮮やかな色彩は
あの林で立枯れている
冬へ静まる過程

立ち尽すのにはつかれてしまった
それでも ふたたび歩きはじめるために
すこしのあいだでも
待つことが
出来ることに感謝する姿で
うずくまるわ

いにしえに
雨を知らず
土へかえった種子がおったそうな

(わたしも
白くうずくまって
 音にぬれわたる
群衆は聞えないのか通りすぎるばかりで
とうめいな闇がひろがる))

「おはよう」
朝はつづいている
うずくまっていた影が
つめたい雨音に澄んでいったきのう
すーっと透きとおっているささめき
今日こそは
わたし
(聞える?) 空へわらおう









※「れいう」=「冷雨」「霊雨」「零雨」「零有(※造語)」





自由詩 れいうとわたし Copyright こしごえ 2007-01-17 11:09:28縦
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