書簡
山田せばすちゃん

こんばんわ
白山ひめ神社はシラヤマヒメノミコトをお祭りしている日本中の白山神社の総本社で加賀の国の一宮でもあったりします。桜並木を横目に見ながら旧国道を警察署の前で左に折れて車で山のほうへ山のほうへと登っていくとそのうちに昆虫館を過ぎ、青年の家の入り口を通り過ぎると大きな鳥居があってそこが駐車場の入り口になっています。駐車場の片隅にはまだとけ残った雪の塊が泥と排気ガスで黒く汚れて残っています。駐車場から手水舎を通って本殿前に行くときに、僕は必ず遠回りをして表参道の側に一回回って神馬舎のほうから門をくぐることにしています。表参道の上り口の階段の終点からは眼下に鶴来の街なみが広がり、その向こうには手取川が青緑色の水をたたえてゆったりと流れているのが見えます。
町並みのちょうどおしまいに当たるところと手取川の間には単線の小さな電車の線路が走っています。今は鶴来の街で終点になってしまうその北陸鉄道石川総線は、かつてはここからずっと山のほうに回りこんで白山につながる村々まで小さな電車はことことと走っていました。今は石川総線という名前になっているこの路線はその昔金名線と呼ばれ、実は僕の住む金沢から白山を越えて岐阜県を通ってあなたの住む名古屋まで通じる予定なのでした。
だからどうだということではありません。
ちょっとだけあなたに今日僕が見てきたものを教えたかった、それだけの手紙でした。
お元気で、これからもいい詩を書いてください。


未詩・独白 書簡 Copyright 山田せばすちゃん 2004-04-07 11:56:09
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