冬の夢かたり
銀猫


こぐまの尾、
ちかり、ちか、り

天空いっぱい夜は溢れて
地上で凍った吐息は
瞬く銀に吸い込まれる

星灯りの舗道に
靴音を響かせ
きみの声を思い出すと
辿る道程は冬の密度が融けて
爪先から凍みてくる一月が
戸惑いながら
春へと幕を進める

  いつも遠くにいて
  愛と無縁な
  きみの気配は
  少しも熱くならない

ぬくもりを連れてくるのは
きみでなく
記憶の欠けら

恋の名残は凍えて
すっかり白くなっている

いつかの声だけが
不思議の扉を叩き
冬の隙間を探して
春が零れる

蒼い闇夜の夢語り
ゆめ、かたり




自由詩 冬の夢かたり Copyright 銀猫 2007-01-12 15:52:59
notebook Home 戻る