痰壺
虹村 凌

何本目かのセブンスターに火をつけてから
やっちまったなァって事に気付いた
全身がギャル達の肉片でまみれている
どうしたものか

そう言えば昔
俺が生まれて間もない頃の話になるが
その頃の友人に珍しいヤツがいて
機嫌が良い時には痰壺を一気飲みするのだ
口の周りを他人の痰だらけにして
嬉しそうに微笑む其奴を見て
俺は幼いながらも感動したものだ

其奴が今の俺を見てどう思うかは知らないが
俺に割り切れる数字の金を寄越したあの女の客が悪いのだ
もう一円足せば割り切れない関係になれたのに


自由詩 痰壺 Copyright 虹村 凌 2007-01-06 23:01:35縦
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