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2009 06/19 23:15[315]
ふるる

『嵐が丘』

を、読みました。エミリーブロンテ作田中西二郎訳、新潮文庫です。例によって色々読み比べて、この訳がよかった。
こういういわゆる文学作品て、なかなか読むチャンスがないんです。腰を落ち着けないといけないというか、その時代のこともちょっと調べつつ読んだほうが面白いから。その頃のイギリスというのは産業革命が進んでいたけど、日常生活はまだまだで、テムズ川なんて超汚くて、衛生状態も悪く、コレラや感染症で死ぬ人も多かったとか。だからあんなに(都合よく?)バタバタ人が死ぬんだなー。舞台のヨークシャー地方は紡績工場がたくさんあったところで、工員や炭鉱夫が住んでいた。なーんもない岩ばかりの荒れ地で、夏にはヒースというラベンダーみたいな紫の花が一面に咲く。(ちなみに、ヒースが自生するのは土地が荒れている証拠)
嵐が丘は前半はすれ違う恋の物語、後半ものすごい執念復讐劇となるわけですが、女性たちがみんな強くってそこが気持ちよい。まるで、荒れ野にすっくりと咲くヒースのよう。
主人公のキャサリン、キャサリンの義理の妹のイザベラ、キャサリンの娘のキャサリン、どの女性たちもかなり自分てものがあって、しっかりしてて、嫌なことされても言われても泣くけど、挫けない。イザベラなんて身重のからだで走って嫌なやつから逃げてきたんだから。逆にヒースクリフ意外の男たちがなよ〜だったりだら〜だったりで背中をどつきたくなってきます。ワイルドなヒースクリフにドキドキしちゃうのもわかる。
なので、恋愛復讐劇というよりは、強気な女の子たちの物語としたほうがいいんでないかいと思いますた。