ふるるさんのプロフィールBBS
2009 01/15 14:15[251]
ふるる

太宰治・・・

太宰治の小説を色々読んでいます。「人間失格」が暗いと評判の太宰治ですが、殆どの小説は軽快なリズムでぽんぽん進みます。
「十五年間」という短編小説の一節。「しかし、これでもまだ、故郷までの全旅程の三分の一くらいしか来ていないのである。読者も、うんざりするだろう。あとまたいろいろ悲惨な思いをしたのであるが、もう書かない。」読者もうんざりするだろう。もう書かない。だって。
あと面白かったのは、「朝」という短編の一文。「あの蝋燭が尽きないうちに私が眠るか、またはコップ一ぱいの酔いが覚めてしまうか、どちらかでないと、キクちゃんが、あぶない。」キクちゃんとは、主人公が面倒を見ている娘さん。その部屋に酔って転がり込んで、このままでは自分の理性が危ないんだと。キクちゃんが、あぶない。ってあぶないのはどっち。どちらも新潮文庫『グッド・バイ』に入っております。青空文庫にもほとんど入ってます。こんなオモローな小説がただで読めちゃうなんて。sage