2014 05/14 23:05[525]
ふるる
『航路』コニー・ウィリス著
読みました。ある薬で疑似臨死体験を脳内に起こせることがわかり、「臨死体験からの生還」のメカニズムを解明したら命が救えるんじゃないか、を探るというお話。すごく長い小説なので、悲しい話じゃなければよかったなーと思うけど、死がテーマだから仕方がない。半分くらいはコメディータッチなので落差がまた。この作者はコミュニケーション不全の可笑しさもどかしさを描くのが超絶うまいのですが、死とはコミュニケーションができなくなることである、ということを延々と描ききった話と私は思いました。あと、危ないと分かっているのに対策たてたり避難しない人間の性みたいなものや、死を軽く扱ってお金儲けする人への冷たい視線。死を扱うならこのくらいの長編書くくらいに頑張れよ、と言ってるみたい。丁寧に張られた多くの伏線がどんどん回収されていく職人技。多くの登場人物をほったらかしにしない。救いがあるようなないようなちょっと見たことないようなラスト。うまいと唸るしかないですね。