2009 08/10 10:19[327]
ふるる
「日の名残り」カズオ・イシグロ著
を、読みました。
あるお屋敷に長年つとめていた執事が、使えていた主人や第二次世界大戦や女中頭との淡い恋を回想していくお話です。
この作家、「わたしを離さないで」もそうだけど、よかれと思ってやったことがずいぶんあとになってそうでもなかった・・・とか、与えられた仕事を盲目的にこなしてしまう・・・という、残念だけどもまあ、いいか。というあの感じを書くのがものすごく、悲しいまでに上手。
最後の方で執事に向かっておじいさんが「夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。」と言うのがぐっとくる。「The Remains of the Day」を「日の名残り」とした訳者もナイス翻訳ですね。また、執事という仕事柄、全編敬語で語られるのですが、はじめ違和感があったのですが、ずっと読んでいくとそれがその人物の堅さ、滑稽さ、従順さ、品格(!)をあらわしているんだなあと分かりました。ぜんぜん関係ないけど、英語とかって客観的論理的に喋るのが得意だから、冷たくなりすぎないようにジョークを散りばめるのが必要なのかなあと、思いました。sage