2008 05/23 11:29[191]
ふるる
ユダヤ人のことを知りたいと思い、「私家版・ユダヤ文化論」内田樹著 を読みました。まあ一冊読んだだけで○○が分かったというのは違うと思いますが、うーん、すごく色々・・・考えさせられました。初めて知ることばっかりで・・・。ユダヤ人とは国家でも民族でも宗教でもなく「反ユダヤ主義者によって名指しされた者」だったとか。つまり、「誰かいじめられ役やるやついないか・・・じゃあ、お前ね」と、不当にいじめられ役を押し付けられた人。明治期に書かれた、日本人の祖先はユダヤ人である(両者は神に選ばれた民である)という本がベストセラーだったとか、「シオン賢者の議定書」という「ユダヤ人が世界征服をたくらんだ時の議定書(捏造)」も世界中でベストセラーだったとか。
何で根拠ゼロの本が売れたかと言うと、資本主義や近代化の波におののく民衆が、目に見える敵を欲しがっていた、政治家は民衆の目をそらす為の敵を欲しがっていた、ということらしいです。
ユダヤ人がどうして酷い仕打ちを長い歴史にわたって受けるのか、「特別にとっておかれた憎悪」というのが、随分とねじくれた愛情というか欲望のせいだったんじゃないか、と筆者は言っています。
あと、ユダヤ教というのが、今まで思っていた宗教や神というものと全然違うんだなということが分かりました。ユダヤ人の哲学者レヴィナスが言うには、ユダヤの神は「神が不在である」という事実が「神の遍在」を証明するんだって。つまり、救いのために神が現れるのではなく、人間を成長させるために、色んな苦労を与えるし、人間には理解できないような遠い境地にただいるだけ、というのが神。ユダヤ人にとって「受難」とは、それで救われることを断念し、人間的に成熟するためにあるんだと。
私達は神様は救ってくれる存在だと何となく思っているけど、それは幼児の考えで、誰も救ってはくれない、一人で頑張るしかないんだ、というのがユダヤ教。さらに、ユダヤ教徒にとって未来は白紙ではなく、「遅れてきて、誰かをどかしてすいません」という有責感があって、現在はよく知らない過去の償いのためにあるんだと。
そんな宗教お断り、がんばりすぎて過労死したらどーすんの。と思うけど、その一見不条理的な神を受け入れられるからこそ、ユダヤ人は知性的だと言われる。というか、「ユダヤにおける標準的思考傾向」のことを、我々は「知性的」だと言っているんだって。
ぶっちゃけて言えば、ユダヤ人=大人、それ以外=幼児、というような感じを受けました。そして幼児は大人に八つ当たりしたり、甘えることを止めることはできない。ユダヤ人の未来学者は、「21世紀中頃、アメリカで反ユダヤ主義的暴力が激しくなり、ユダヤ人はアメリカを出て行き、アメリカ経済はダイナミズムを失うだろう」と予言しているそうです。sage