大きなゴミ箱の中で/チアーヌ
 
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- アラガイs 

海はいつものようにマルチーズの白い毛をはしらせていた 。 雲がぽっかりと口を空けた。
折れ曲がる鉄骨を射す屈折した光りの影が異様に深い、動くものは見あたらなかった 。…斜線に糸を引きながら、一羽の鴎が飛び去ってゆく。変わらない感覚は鈍く、しかし異様な景色には違いない。「半径10㌔圏内」盛り上がる瘡蓋の底は着実に腐りはじめていた 。*

…リズミカルにカーテンを揺らす西風。断崖を照らす、日差しが眩しい。
(朝食にはシナモン付きの珈琲を添えてね)。海に広がる窓を開けて、バスケープのままデッキに出てみる。遠く湾曲に沿った砂浜の海岸は、まるで白磁の皿のよう。見渡すと子犬を連れた婦人らしき人が散歩していた 。両手をおもいきりのばして、カリブの思い出を吸い込むの 。きえかかる白いひこうき雲。わき上がるようなかけ声が、ずっと下のレストランから響いてくる。受付に電話している彼は、まだ荷物の整理を済ませてはいない。わたしは帰国した後のことばかり考えてるのに…。(ねえ、朝食、電話しといたからね)陽が焼ける時間にはまだ少し早かった 。





- はるな 
- うめバア 

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