作者より：

推敲まえ（覚書として）


シルバー、あなたは

ピアスも指輪も
まだ必要じゃなかった頃
シルバー、
どこにいても
あなたはわたしの中にいた

すこし経って
きれいな布や
かかとのついた靴で
武装しなきゃならなくなっても
シルバー、
あなたはまだわたしの傍にいた

それからしばらくして
うんと甘いお菓子や
沈むようにやわらかいベッドの乱しかたを覚えた頃
シルバー、あの頃
わたしはもっとあなたのことを思い出すべきだった


それからまたすこしして
それなりのお金の使い方や
それなりのお金のつくりかたを手に入れて
それでもまだ何か足りなかった
あるいは何もかも足りなかった
そのときにさえシルバー、
あなたはまだ
そこにいたのに

シルバー
あなたは
いつでもそこにいたのに


シルバー
ぼろぼろになって
あたしの何もかもが変わっても
まだそこにいてくれる？
シルバー、
あなたが変わっても
あたしはあなたを見つけられる？
シルバー
たくさんのものを好きにしてきたよ
シルバー
あたしは誰にも
何にも
奪われなかった
なにひとつとして

シルバー
みんなが言う
あたしがすっかり変わったと
シルバー
あたしにはわからない
シルバー
あなたさえ


なにもかも
すっかり終わって
日がしずむころに
夢みたいに広い場所で
座っていたいね
シルバー
なにもかもすっかり片付いて
なにも身に着けず
なにもかもを手に入れたあとで
それでもまだわたしに必要なものがあるとしたら
それは
シルバー
あなただった

（8/17）

---2011/08/18 19:43追記---

草野さん、ありがとうございます。
You Got The Silver、そうですね、言われてみれば。
久しぶりにストーンズ聴きました。

この詩は、組み立てなおしたら、ずいぶんちがう趣のものになったので、
すこし迷ったけれど推敲まえのものも残しておくことにしました。
もともと歌をつけてみようと思って作ったのだけど、
今はどちらが歌にむいてるかわからなくなってしまいました。