さんま/夏野雨
白井明大さんのコメント
どうしてこうも、作者に固有の抒情を書きあらわせるのだろうと思える、詩に向かうこころのやわらかさを感じます。そうした自身に固有の、ちいさな(とみえる)抒情に微細にはいっていきそうで、けれども四連や八・九連のように引いた視点を伴わせることが、作風に見受けられます。その両方ともで成り立っている詩として、夏野雨さんの詩があるのだと感じます。
これは立ち入ったことですが、なぜ、引いた視点が生まれるのだろうと考えたとき、夏野さんが書こうとしているものがなにか、あらわれてくる気もするのですが、それはご自身の抒情とうらはらなものであろうかと、怜悧なまなざしをそこに感じもいたします。
その怜悧さを、あるいは抒情として書き表した詩が、夏野さんから生まれることもあるのではと思いつつ、それがどのようなものであるかも皆目わからないのですが。