思い出せない言葉を思い出せないままにしておく/竜門勇気
竜門勇気さんのコメント
腐った僕たちは乾くことすら忘れてる。
内側から湧いてくる世界の果実に食い荒らされながら。
思い出そうと懸命なのさ。
奴らの咀嚼を聞きながら、糞に埋もれていく。
僕らはただ懸命なんだ。
だから、きちんと、果実がここに来て食い荒らしてくれる。
残るものはない。果実の糞が風に吹かれて散っていく。
分割され果てた果実を育てたもの、乾くことすらなく闇の街ににじむもの。
忘れても忘れても繰り返し生じるかたち。
薄まって薄まって強固になる僕たち。