雪のひとびと/印あかり
狩心さんのコメント
一つ一つの連の表現は面白くていいんだけど
途中から空中分解してしまっていてバラバラ感が否めない

具体的に言うと
1~4連目まではつながっているように読めたが
5連目から崩壊し始め、最後には何がなんだか分からなくなっている

1連目、生き物をぶっ殺してるのに、ただの人工の像を生き物より大事にする矛盾というか
そういう糞みたいな人間の性
4連目までは何かこう、生命と生命じゃないものというか、そういう対比が効いていて
一貫して繋がっているように自分には読めました。

5連目では、「受験生の群れ」と「タール」という単語からどこか、
反抗・抵抗・離脱的なもの、から、死ぬことと生きることの対比みたいに移行し、
1~4とは微妙に違う切り口に(大げさに言いと、物から事、静から動に変わったように)見える
別に違う切り口がだめなわけじゃない、ただ、読者はここで、あ、なんか方向性変わったなと感じる

6連目でまた「影」がきて、伝えたいことも繰り返しのように感じ、
表現の鋭さ、濃度が薄まったように感じ

7連目でまた1~4連目みたいに戻ろうとするのだが、
1~4連目で感じられた静寂や無機質な感じ(矛盾や超現実)とは違って、
どこか綺麗な、マイナスも肯定するような、ファンタジックな感じになって
地上から足が離れる

8・9連目も単独で見れば面白いが
そこで得られる感覚や意味が、7連目以前と何が繋がっているか分からない

繋がっていないなら繋がっていないで構わないが、
それによって何か凄い感覚にさせてくれるわけでもなくて、
ただ面白い感覚と面白い視点をいきなりピックアップして
投げやりに空中分解している、ように、私には思えました。

案1
7連目を無くすか、「影」じゃない単語を使う、また「痛む」という表現を使わない
8連目と9連目の間に、8連目の意味や感覚を補強するような連を一つ
9連目の後に、9連目の意味や感覚を補強するような連を一つ

案2
7連目を無くすか、「影」じゃない単語を使う、また「痛む」という表現を使わない
8連目と9連目の間に、8連目と9連目の意味や感覚を補強するような連を一つ

入れたら、もっと良くなるのではと、思いました。

1連目から4連目までは凄く良いです。