夢は夢のままで/森田拓也
孤蓬さんのコメント
>菊散りぬ咲きたる頃の絵の横に
中七に完了継続の助動詞の連体形「たる」が用いられています。
この句中の状況において、規矩は既に散っている訳です。
したがって、菊が咲いていたのは過去の時制になるため、ここは完了継続の助動詞よりも過去回想の助動詞の連体形「し」を用いて「咲きてし」などと表現するのが適切です。

>とんぼ追ひ児が思ひ出のドアに消ゆ
句末の「消ゆ」の主語は、「児」ですが「児が」と格助詞「が」を伴っているのは、文語として不適切です。
従来から申しているとおり、文語では、名詞句などにおいては格助詞が当該句の主語を示すことはあっても、文における主語を格助詞で示す手法は用いません。

>閉ぢし窓秋風ひとつ逃げ遅れ
上五に過去回想の助動詞の連体形「し」が用いられています。
しかし、閉じた窓というのは、過去の時制の話ではなく、現在閉じている窓のことですから、過去回想の助動詞を用いるのは不適切です。
完了継続の助動詞の連体形を用いて「閉ぢたる窓」などと表現するのが適切です。
また、中七の「ひとつ」という表現も、情景の的確な描写とはなっておらず、下五の末尾が連用形で切れているのも、締まりのない印象です。

---2019/09/15 16:59追記---
「咲けりし頃」は問題ないと思います。
森田さんは、なぜ「文法的に間違いか?」と疑問に思われたのですか?