現代詩のオマンジュ (訳あり転載)/OMEGA
もとこさんのコメント
文学極道の方が凍結されてしまったので、あちらに「无」としてコメントするつもりだったものをここに書きます。

春山行夫が「白い少女」の収録された詩集「植物の断面」を発表したのは1929年です。今から90年も前ですね。当時は画期的な実験詩として評価されたようですが、今日の視点では手垢がついた手法です。美術界において子どもの落書きのような抽象画に時として億単位の値段が付くのは、「初めて試みられた手法」で描かれていることが価値となるからだそうです。「白い少女」もまた、「あの時代に、誰もやっていなかった構成で書かれた詩」だから評価されているわけです。

ではOMEGAさんの作品はどうでしょうか。「白」を「黒」、「少女」を「まんこ」に変換した点がオリジナルと異なっています。純粋な存在である少女を表現した「白い少女」に対して、色々な意味で汚れてしまった女性を「黒いまんこ」という荒廃した性体験の果てを連想させる言葉で表現した点は面白いですが、やはりオリジナルには遠く及ばないのではという気がします。それでも、まるで小学生のような変換の仕方が深読みすればそれなりの意味を持つような気になるという点にポイントを与える価値があると思います。

ちなみに私がこの言葉をつかうなら、真っ白い空白の真ん中に「黒いまんこ」という言葉を1つだけ配置します。